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[Canon EOS-3 ボディ のレビュー ]
このカメラは評価が真っ二つに分かれるカメラです。
EOSらしからぬ直線を多用したデザインや、プラスチックボディー、45点もの測距点を選ぶ視線入力などがその原因です。
とかく45点視線入力AFという派手な飛び道具に注目が集まりがちですが、このカメラはEOS-1Nをベースに今後のEOS-1の進む道を占うためのチャレンジも盛り込まれた魅力あるカメラだと思います。
ボディーは表面がエンプラだが、骨格が金属。中級機と比べると、手にしたときのしっかり感が違います。過信は禁物ですが、防塵・防滴も、EOS-1Nなみに施されているようです。パワードライブブースターもEOS-1系と共通で、秒7コマ(アルカリ乾電池では秒6コマ)という高速連写に対応。また、内蔵モーターによる連写も、秒4.3コマと十分な数値。
そして、何より嬉しかったのが、T90以来封印されてきたセイフティーシフトとマルチスポット測光の搭載です。セイフティーシフトとは、シャッター優先、絞り優先AE時に、設定したシャッタースピードや絞り値が測光連動範囲を超えたときに自動修正するという機能です。
ファインダー横の露出インジケーターも見やすく、操作方法もシンプルです。
欠点は、高級機にしてはファインダーが今ひとつなこと。
これはEOS-1V用のスクリーンに変更してマシになりましたが、本気の位置づけを考えるともう少し良いスクリーンを奢ってもらいたかったと思います。
ミラーショックが大きいので、この点も改良してほしい点です。カスタムファンクションでミラーアップも選択できますが、とっさの時に切り替えにくいので、ミラーアップの操作は独立して設けて欲しいと思います。 見つめたところにピントが合う45点視線入力AF、これ使ってると 他のカメラはもどかしくて仕方ありません。 使い勝手では間違いなくEOS-1シリーズを凌ぎます。 早くデジタル版が出ないかなぁ・・・
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とにかく、まずは体感してほしい。ファインダーをのぞくと中央に円とオーバル状の2つの枠が目に飛び込んでくる。この枠内はなんと45点ものエリアに分割されており、その1つ1つが独立したAFフレームの機能を有し、細密で自由度の高いフレーミングが可能となっているのだ。
これら45のAFフレームの中から、確実にスピーディに選択するために見つめたところにピントが合う「視線入力」、最適な場所をカメラが自動的に選択する「自動選択」、ダイヤル操作で任意の1点を選択する「任意選択」の3つの選択機能があり、その場その場にあった方法を選ぶことができるようになっている。
測光も、EOSの「ピントのあった被写体に最適な露出を」というコンセプトを踏襲し、21分割測光センサーを採用。定常光時の通常測光からE-TTL自動調光まで対応している。連続撮影機能でも、ボディ単体で最高約4.3コマ/秒(ワンショットAF時)を実現。別売のパワードライブブースターPB-E2とニッケル水素パックNP-E2を使用すれば、最高で約7コマ/秒の動体予測・AIサーボAFを可能にしている。
これら多彩な機能を搭載しても、操作はシンプル。EOS-1以来培われてきた基本操作系の独自のスタイルは、ユーザーが扱いやすいと支持してきた証拠である。今までEOSを使ったことがないという人でもすんなりと使いこなせるその操作性が、本機の一番の優位点なのかもしれないということを手に取ったとき初めて思い知らされるのだ。(円道ヒデカズ)
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